観音経を読む ひの出版室

 

観音経を読む 

  平成26年1月 阿山恭久 記す

 観音経を読むときにどのように心を向ければ良いのでしょう。
一般に観音経とは、法華経、すなわち妙法蓮華経観世音菩薩普門品ある第二十五偈のことです。というのは詩文のことです。 この詩文には観世音菩薩の功徳が説かれています。
 私はこの観音経を四十年以上毎日読み上げています。もちろん最初の頃は何のことだかさっぱり分かりませんでした。
念彼観音力、念彼観音力と調子をつけて声を上げて、ただただ読み上げていたのです。

 いつの頃からか、せっかく読み上げるのだから何か役に立つように読んでみようと思いだしました。 もちろん観音経は読み上げるだけで大きな功徳があるのだから良いではないか、という考えもあったのですけれど、技術者としては具体的にどの様な功徳があるのかを追求したくなったのです。

人間は原生動物から魚になり両生類になり哺乳類、猿などの進化の過程を経てきました。
 人間の脳と心には、この進化の過程で起きた様々な出来事が全て記憶されています。地球の変化に適応し、天敵と戦い、仲間と争いなどしている間に、この中で生き残ってゆくために沢山の記憶が蓄積されたのです。そのうちの多くのものは恐怖の思いでした。
観音経にはこの恐怖の記憶が羅列されています。

 念彼観音力、かの観世音菩薩の力を念ずればこれらの恐怖の記憶は全て消える、とこの様に記されています。人間はいつも記憶にある恐怖の思いが再び起きないかと身構えています。この恐怖の思いが、念彼観音力によって消滅するというのです。

 人間の苦しみの原因をあぶり出す過去の記憶、心の奥深くにある記憶を観世音菩薩が消して下さると言うのです。
 このように心を向けて読むとどうなるのでしょうか。

 観音経の最後の部分には次のテキストがあります。

 当知是人功徳不少 佛説是普門品時 衆中八萬四千衆生皆発無等等 阿耨多羅三藐三菩提心

 まさにこの人は功徳が少なくないと知るべきです。佛がこの普門品を説かれた時に衆生の中で八万四千人が皆最高の覚りである阿耨多羅三藐三菩提を開発しました。

 観音経を聞いた人は皆阿耨多羅三藐三菩提すなわち涅槃(ニルバーナ)の覚りを発生したというのです。何と素晴らしいことではありませんか。
どうしてこの様になるのでしょうか。心の奥深くにある過去の恐怖の記憶が全て消えるからです。過去世からのストレス感が消えるのです。

 観音経を読み上げるときには心の奥深くに働きかけて観世音菩薩のお力を受け取れるようにするのです。

 私は、この様に観音経を読み上げています。

 

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