解脱の階梯である須陀洹から阿羅漢・仏陀までと、四禅、四念処観についてまとめました。アビダルマ、大乗仏教の四念処観と原初仏教である阿含経の四念処観の違いをご理解いただける一助になれなばと思います。阿山師の著書とWEBを参考に作成しました。
四禅、四向四果、喜止楽定、阿含経の四念処観、さらに大乗仏教の四念処観との位置づけを把握し、在家も修行していた、釈尊の四念処観にふれて頂き、阿羅漢までの全体像の把握を目指します。
また、雑阿含経『広説八聖道』における「世俗」と「聖出世間」の八正道との位置づけの理解も深めて頂きたいと思います。「世間福」とは有漏有取で須陀洹や斯陀含の段階をいい、「出世間福」は無漏無取で阿那含や阿羅漢の修行をいうという。
「世俗」とは、前世の満たされない思い有結から生じる愛(タンハー)が滅盡しておらず、漏となって心にストレス感を生じています。取すなわち愛(タンハー)の実現に執着する掉慢無明が動いています。いわゆる世間福を求めている修行者であるという。
「有漏」とは、過去世などでの満たされない思いである、有結と愛(タンハー)が存在していて、この愛(タンハー)が表面意識に漏れています。
「有取」は愛(タンハー)の実現に執着する掉慢無明が動いていることであるという。
「無漏無取」は、有結とタンハーが滅尽していてタンハーが表面意識に漏れてこないことであり、「無取」は、タンハーの実現に対する執着がなくなり、掉慢無明を捨離していて阿羅漢・仏陀の段階にあることであるという。
解脱の階梯 | 四念処観 | |||||||||
四果 | 四双八輩 四向四果 |
四禅 | 三界経 (1) |
八聖道経 (2) | 阿含経 (3) | 大乗仏教 | ||||
須陀洹 | 須陀洹向 | 向須陀洹 | 欲界 | 有漏有取
世間福 |
喜 | 身観念処 | 欲界の動物の行動原理を観察し制御し寂静にする | 身は不浄なりは、一日中寝ても覚めても自分の脳と心に欲念・恚念・害念など、すなわち不浄の動きが生じていないか観察し、不浄の心を見つけたらこれを寂滅するために、擇法を為し、自然の神力を動かします。「身は不浄なり」が無くなれば須陀洹です。 | 身は不浄なり | |
須陀洹果 | 須陀洹 | 初禅 | 出欲界 | |||||||
斯陀含 | 斯陀含向 | 向斯陀含 | 色界 | 止 | 受観念処 | 意界(色界)の心を観察制御寂滅する | 愛(タンハー)を実現しようと、色受陰は五蘊(色受想行識)となって拡大展開し、ここから苦を生じる受が生じる。タンハーは受を生じ、心の中で転変して苦となってしまう。「受は苦なり」タンハーによる表面意識の動きを示しています。「受は苦なり」がなくなることは、表面意識でタンハーが動かなくなったことを示し、斯陀含の成就を示しています。 | 受は苦なり | ||
斯陀含果 | 斯陀含 | 第二禅 | 出色界 | |||||||
阿那含 | 阿那含向 | 向阿那含 | 無色界 | 無漏無取
出世間福 |
楽 | 心観念処 | 法界(無色界)に存在している有結とタンハー(愛)を観察し寂滅します | 掉慢無明から離れ、前世からの愛(タンハー)のエネルギーも寂滅に向かうよう、静かに自然の神力を動かします。「憂苦・悔恨・埋没・障礙」に対しても自然の神力は効果があります。 | 心は無常なり | |
阿那含果 | 阿那含 | 第三禅 | 出無色界 | |||||||
阿羅漢 | 阿羅漢向 | 向阿羅漢 | 滅界 | 定 | 法観念処 | 三世に渡る心の動きを滅尽させてこれを観察し、涅槃の心の働きを確立します。 | 心の奥底に小さな「我(が)」があって、表面意識に表れない世の中の情報に反発すると、身体が壊れてしまいそうになります。「我(が)」がなくなって、どんなことにも反発することがなく、心静かに存在していなければなりません。もう一つの対処法は、無意識層に入ってくる世の中の情報を表面意識に引き出せるようになることです。 | 法は無我なり | ||
阿羅漢果 | 阿羅漢 | 第四禅 |
(1)『仏陀に学ぶ脳と心 第三巻』42ページを参照ください。
(2) ひの出版室HOME「八正道による日常生活」を参照ください。
(https://metta-maitori.com/Websites/hasshoudou.html)
(3)悼慢無明無明を捨離す 115ページ
身観念処は、身の動きに関連して生じる、無明界(欲界)欲の心(の動物の行動原理)を観察し制御し寂静します
受観念処は、世間の情報が三事和合を生じて脳に捉えられ、五蘊を生じ行を生じて苦を育てていく、意界(色界)の心を観察制御寂滅します
心観念処は、法界(無色界)に存在している有結と愛(タンハー)を観察し寂滅します。
前世の有結と煩悩から生じるストレス感(憂苦、悔恨、埋没、障礙)が滅尽しているのを知ることを目指します。
法観念処は、三界に関連した心の動きを含む全ての脳が動く法則を把握し、三世に渡る心の動きを滅尽させてこれを観察し、涅槃の心の働きを確立します。
ひの出版室HOME「四念処観と七覚支による解脱システム」を参照ください。
(https://metta-maitori.com/Websites/sinennjokan.html)
20220904 作成
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